乳腺のガンに御注意!

乳腺の腫瘍は、おとなのメスのワンちゃん、ネコちゃんによく認められるもので、メスのワンちゃんでは、全腫瘍の半分を占めています。ネコちゃんは、ワンちゃんの1/8ですが、皮膚の腫瘍、リンパ腫(血液のガンの1種)に次多く認められます。発生年齢は、10歳齢すぎが多く見られますが、まれに若い年齢でも認められます。


乳腺のある胸からおなかの部分にしこりがあったり、赤く腫れていたら、すぐに病院で診察を受けて下さい。病院では、これらの変化の経過(いつからか?どれくらいのスピードで大きくなってきたのか?など)や最近の発情の時期をお聞きし、見たり触ったり、場合によっては針を刺したりして、炎症なのか腫瘍なのかを判断します。炎症性のものであれば飲み薬などの内科的な治療で収まる事もあります。しかし、乳腺の腫瘍ならば手術を考える必要が出てきます。一般的に、腫瘍に対する治療は内科的な抗ガン治療(化学療法)、手術による摘出(外科療法)のほか、放射線治療や温熱療法などが試みられていますが、現在乳腺腫に対して有効な化学療法や放射線治療がないため外科治療が中心となっています。

手術の前に行う事は、腫瘍の転移の有無を調べる事と、麻酔の安全性を確認するための全身状態の評価です。腫瘍の転移は、血液やリンパ管を介して行なわれることが多いため、まず身体検査で脇や内股のリンパ節を調べます。その次に胸部や腰部レントゲンを撮り、からだの中のリンパ節や肺に転移がないか調べます。

年をとったり、太りすぎの動物たちに対する麻酔の安全性は、その程度にしたがって下がってしまいます。また、肝臓や腎臓など乳腺腫以外の病気を持っている場合には、さらに麻酔の危険性が高まります。安全に麻酔をし,手術をするにはその子の全身状態を把握する必要があるので、血液検査や尿検査、そしてレントゲン検査・超音波検査・心電図検査などを行います。

乳腺ガンの治療は、前に書いた様に手術が中心になりますが、治療目的によって手術が異なります。転移もなく全身状態も安定している子には、完治を目指す手術を行ないます。これに対し、肺などの転移や周りの筋肉などへの浸潤がある場合は、完治を目指すのではなく、生活の質を改善してあげるには何をしてあげられるのかを考えます。腫瘍が破れて出血している場合は、傷口をふさぐため,腫瘍を取る手術をする事もあります。痛みがひどかったり、咳が出る時には、痛み止めや咳止めを使う事もあります。また、ガンの成長を少しでも遅らせるため、ガンに対する治療食を食べさせたり、アガリクスやサメ軟骨を飲ませたりします。今の状態を評価してあげて、その子に何をしてあげたら一番良いのかを考えてあげる必要があります。そして、その子と一緒に病気と戦ってあげる優しさが大切です。

最後に、この病気を防げないか?と言う問題に対しては、まだ最初の発情が来ていない若いワンちゃんにだけ方法があります。それは、初回発情前の避妊手術です。犬の乳腺ガンの細胞は、女性ホルモンに対し感受性があるため手術によって発生頻度は明らかに低下します。ぜひ考えてあげて下さい。ネコちゃんやもう発情が来てしまったワンちゃんは、この腫瘍が起きる可能性がありますが、一般に言われている様に早期発見早期治療によって、悲しい結果を回避する事が出来ます。日ごろお腹を良く触ってあげて下さい、そしてコリッと感じたらすぐに病院にいらして下さい。

おおむら動物病院 健康相談 イラスト

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