命にかかわる白血球の減少

血液検査をすると白血球と言う項目があります。では白血球は何をする細胞でしょうか?炎症があると増えますが、減る事もあるのでしょうか?

白血球は、血液の中の細胞。体をくまなく循環している血液の中には、酸素を運ぶ赤血球と病気と闘う白血球と出血を止める時に必要な血小板と言う細胞があります。それらの細胞は、骨髄で作られ古くなると壊れてしまいますが、常に新しいものが供給されますのでその数は一定に保たれています。

白血球に種類はあるの?先ほどお話したように、白血球は病気と闘う細胞ですが、いろいろな種類があり、役割分担されています。
●好中球:細長い核を持ち、炎症が起きると数が増加します。
●リンパ球:丸い核を持ち免疫に関係する細胞です。
●単球:少し薄い色の核を持ちバリエーションのある形をして、慢性炎症などで増加します。
●好酸球:好中球に似た細長い核を持ちその周りにオレンジ色の顆粒が見られ、寄生虫がいたり、アレルギーがあったりしたときに増えます。
●好塩基球:好酸球に似ていますが、紫色の顆粒を持っていて、好酸球が増えるような時に見られることがあります。

おおむら動物病院 顕微鏡で見た白血球の形

白血球減少症は、どの細胞が少なくなるの?白血球のうちでかなりの部分を占めているのが好中球なので、白血球減少症は好中球が少なくなる病気と考えても良いかもしれません。好中球は、ばい菌(細菌)などの感染症や炎症が起きるとその場所に集まり、血液中の数も増えます。この細胞が減ってしまうと病気と闘えなくなってしまい、命にかかわる大変な状態になります。好中球は細長いくびれのある核を持っていて、若い好中球はくびれがなく、成熟するとくびれが多くなります。若い好中球と成熟好中球の数を見ることによって、その原因が想像できます。

犬 写真白血球はどうして少なくなるの?原因としては以下の3つが挙げられます。
①好中球が病気と闘ってどんどん使われてしまって減ってしまう(消費の亢進)
②ある臓器内の血管にたまってしまっている事によって,流れている血液(循環血液)中の数がへってしまう(分布の異常)
③若い好中球が作られないために減ってしまう(生産の減少)

①白血球の消費の亢進は、ものすごい感染や炎症が起こったときに起こります。炎症が軽い場合は、体が反応して白血球は増えていきますが、炎症が激しくそれに対し体が反応しきれなくなった場合に白血球減少が認められます。ひどい細菌感染を起こした傷、激しい肺炎、蜂窩織炎などのひどい皮膚炎、急性のウィルス感染など命にかかわる病気です。

②白血球の分布の異常は、まれですが、内毒素症や正常なワンちゃんで起こります。正常なワンちゃんでは、白血球自身は減っていないし、感染などで必要な時には循環血液中に戻るので問題ないと考えられています。

猫 写真③白血球の産生の減少は、血液の細胞を作る骨髄(骨の真ん中の赤くどろどろしている所)の障害で見られます。原因は、抗がん剤などの薬物やホルモン(異常に多量の卵胞ホルモンなど)、毒物、ウイルス感染(犬と猫のパルボウイルス、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスなど)、ガンの骨髄への転移、骨髄のガン(白血病など)、大理石病(骨髄まで硬い骨に置き換わってしまう病気)などが在り、どの病気も命にかかわる重大な病気です。

診断は、普段行っている健康チェックの血液検査で可能です。白血球が減っていたら大変です。原因を探るために詳しくチェックします。どの白血球が減っているか?若い好中球は作られているか?炎症の場所を探るためにX線検査や超音波検査を行ったり、白血球が作られているかどうか?ガンはないか?を探るため骨髄検査を行ったりします。また必要であればウイルス検査を行います。

治療は、白血球が減っているために起こる2次感染の予防とその原因に対する治療があります。感染を予防し免疫力を高めるために抗生物質を投与したり、輸血をしたりします。また、原因に対する治療は、その原因によって異なりますので、まず大切なことはしっかり検査を行い正確に診断する事です。そうする事によって治療方針を決めることができ,今後の見通しがはっきりします.

日ごろ定期的な健康診断、血液検査などを行う事によって、白血球減少症などの厄介な病気を早期に見つけることができます。

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