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食欲があるのに病気(クッシング症候群)
食欲の秋になりましたが、食欲だけでなく最近、お宅のワンちゃん達はよくお水を飲んでいませんか?気温や運動、生活環境によって飲水量は変化しますが、一見健康そうに思えるこのような行動も病気のサインである事もあります。そのなかの一つに副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)というものがあり、よく水を飲んでたくさんおしっこをしたり、異常にたくさん食べるようになったりします。
副腎は腎臓の上にある小さな臓器でさまざまなホルモンを分泌している重要な臓器です。この臓器の機能が異常に高まり分泌されるホルモンが過剰になった状態を副腎皮質機能亢進症と呼びます。症状としては、初めのうちは多飲・多尿(水をたくさん飲んで、尿をたくさんする事)や、多食(異常に食欲がある事)があげられます。さらにすすむとお腹が膨れて垂れ下がるようになったり、筋肉が弱くなったり、皮膚が薄くなったり、さらに血管が透けてみえるようになったり、左右対称に脱毛がみられたり、皮膚に色素が沈着したりします。プードル、ダックスフンド、ビーグル、ボストンテリア、ボクサーに多く発生すると言われています。一般的に中年から老齢の動物の病気ですが、まれに1歳という若い犬にみられることもあります。犬では割と発生が多い病気ですが、猫では稀な病気です。
この副腎皮質機能亢進症は大きく3つに分けられます。(1)脳下垂体の異常、(2)副腎皮質の異常、(3)副腎皮質ホルモン剤の過剰投与にわけられます。(1)脳下垂体の異常というのは脳の下垂体とよばれるところから副腎皮質を刺激するホルモンが異常に分泌され、そのため、過剰な副腎皮質ホルモンの分泌がおこります。副腎皮質機能亢進症の原因の80〜85%がこれにあたります。(2)副腎皮質の異常は、副腎自体が腫瘍化して副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されます。15〜20%がこれにあたります。(3)副腎皮質ホルモン剤の過剰投与は、薬の種類、量、期間によって異なります。
では、診断はどのようにするのかというと、いままで書いてきたような症状や身体検査、健康診断で疑わしければ、血液検査、尿検査、ホルモン検査、お腹のレントゲン検査、超音波検査、そして確定診断するために特殊な検査をします。
副腎皮質機能亢進症と診断されたら治療はどうするのか?原因によって異なりますが、(1)脳下垂体の異常の場合、薬による治療が基本です。手術によって下垂体を切除することもありますが、非常に難しく命の危険性もあるのであまり行なわれていません。(2)副腎皮質の異常の場合には、手術によって腫瘍化した副腎を摘出することが主に行なわれています。
多飲・多尿といった症状があらわれたら、副腎皮質機能亢進症かもしれませんし、また他にもお水をたくさん飲んだり、おしっこをたくさんする症状の見られる病気であるかもしれません、多飲多尿の見られる病気の中には副腎皮質機能亢進症の他に、子宮蓄膿症、糖尿病、腎不全、肝不全、癌や高カルシウム血症など命にかかわるさまざまな病気があります。おかしいなと思ったら病院にいらしてください。

命にかかわる白血球の減る病気
血液検査をすると白血球と言う項目があります。では白血球は何をする細胞でしょうか?炎症があると増えますが、減る事もあるのでしょうか?
白血球は、血液の中の細胞。体をくまなく循環している血液の中には、酸素を運ぶ赤血球と病気と闘う白血球と出血を止める時に必要な血小板と言う細胞があります。それらの細胞は、骨髄で作られ古くなると壊れてしまいますが、常に新しいものが供給されますのでその数は一定に保たれています。
白血球に種類はあるの?先ほどお話したように、白血球は病気と闘う細胞ですが、いろいろな種類があり、役割分担されています。好中球は、細長い核を持ち、炎症が起きると数が増加します。リンパ球は丸い核を持ち免疫に関係する細胞です。単球は少し薄い色の核を持ちバリエーションのある形をして、慢性炎症などで増加します。好酸球は好中球に似た細長い核を持ちその周りにオレンジ色の顆粒が見られ、寄生虫がいたり、アレルギーがあったりしたときに増えます.好塩基球は、好酸球に似ていますが、紫色の顆粒を持っていて、好酸球が増えるような時に見られることがあります。

白血球減少症は、どの細胞が少なくなるの?白血球のうちでかなりの部分を占めているのが好中球なので、白血球減少症は好中球が少なくなる病気と考えても良いかもしれません。好中球は、ばい菌(細菌)などの感染症や炎症が起きるとその場所に集まり、血液中の数も増えます。この細胞が減ってしまうと病気と闘えなくなってしまい、命にかかわる大変な状態になります。好中球は細長いくびれのある核を持っていて、若い好中球はくびれがなく、成熟するとくびれが多くなります。若い好中球と成熟好中球の数を見ることによって、その原因が想像できます。
白血球はどうして少なくなるの?@好中球が病気と闘ってどんどん使われてしまって減ってしまう(消費の亢進)か、Aある臓器内の血管にたまってしまっている事によって,流れている血液(循環血液)中の数がへってしまう(分布の異常)、B若い好中球が作られないために減ってしまう(生産の減少)が在ります。
白血球の消費の亢進は、ものすごい感染や炎症が起こったときに起こります。炎症が軽い場合は、体が反応して白血球は増えていきますが、炎症が激しくそれに対し体が反応しきれなくなった場合に白血球減少が認められます。ひどい細菌感染を起こした傷、激しい肺炎、蜂窩織炎などのひどい皮膚炎、急性のウィルス感染など命にかかわる病気です。
白血球の分布の異常は、まれにみられ、内毒素症や正常なワンちゃんで起こります。正常なワンちゃんでは、白血球自身は減っていないし、感染などで必要な時には循環血液中に戻るので問題ないと考えられています。
白血球の産生の減少は、血液の細胞を作る骨髄(骨の真ん中の赤くどろどろしている所)の障害で見られます。原因は、抗がん剤などの薬物やホルモン(異常に多量の卵胞ホルモンなど)、毒物、ウイルス感染(犬と猫のパルボウイルス、猫白血病ウイルス、猫免疫不全ウイルスなど)、ガンの骨髄への転移、骨髄のガン(白血病など)、大理石病(骨髄まで硬い骨に置き換わってしまう病気)などが在り、どの病気も命にかかわる重大な病気です。
診断は、普段行っている健康チェックの血液検査で可能です。白血球が減っていたら大変です。原因を探るために詳しくチェックします。どの白血球が減っているか?若い好中球は作られているか?炎症の場所を探るためにX線検査や超音波検査を行ったり、白血球が作られているかどうか?ガンはないか?を探るため骨髄検査を行ったりします。また必要であればウイルス検査を行います。
治療は、白血球が減っているために起こる2次感染の予防とその原因に対する治療があります。感染を予防し免疫力を高めるために抗生物質を投与したり、輸血をしたりします。また、原因に対する治療は、その原因によって異なりますので、まず大切なことはしっかり検査を行い正確に診断する事です。そうする事によって治療方針を決めることができ,今後の見通しがはっきりします.
日ごろ定期的な健康診断、血液検査などを行う事によって、白血球減少症などの厄介な病気を早期に見つけることができます。

ワンちゃん、ネコちゃんにもアレルギー
アレルギーというと私たち人間にとっては、春になり暖かくなると心配な花粉症ですが、ワンちゃん、ねこちゃんにもアレルギーはあるのでしょうか?人とは異なりますが、ワンちゃん、ねこちゃんにもアレルギーがあります。ではアレルギーの時に体の中で何が起こっているのでしょうか?人間にも動物たちにも病原体から体を守るために「免疫」という機能があります。この「免疫機能」が狂ってしまうのがアレルギーです。免疫とは、ウィルスや細菌が体の中に入ってきた時にリンパ球(白血球の1種)などが働き抗体を作って、これらの病原体が増えないように熱を出したり、赤くはれたりして炎症を起こし病原体(抗体)と戦ってくれる機能で、これをうまく利用したのが年1回接種するワクチンです。逆に、病原体ではない花粉や家の中のほこり(ハウスダスト)、食べ物などが体の中に入ってきた時にも同じように反応して炎症を起こすのがアレルギーです。
よく見られるアレルギーの症状は、ワンちゃん、ねこちゃんにとってかゆみを伴う皮膚病と下痢や嘔吐が認められる腸炎、咳や呼吸困難を起こす肺炎などがまれにあり、その中でよく見られるのが皮膚病です。これはひどいかゆみが伴ないますが、かゆみがあるからといってアレルギーとはいえません。細菌やカビ、ダニなどの寄生虫による感染症の皮膚炎や問題行動としての皮膚病があるかどうかを調べる必要があります。またアレルギーは、他の病気と重なって解りづらいこともよくあります。たとえば、暑くなるとよくみられる細菌性の皮膚炎(膿皮症)の影に隠れている事もありますので、まず膿皮症の治療をして後からアレルギーもあることが解る事もよくあります。
アレルギーに対する治療は、まず@アレルギーの原因と接触しないようにする事、それが完全にできない場合はA薬で免疫を抑えたり抗ヒスタミン剤でかゆみをコントロールしてあげる方法です。そしてB最近試みられているのが減感作療法です。@とBはアレルギーの原因をはっきりさせる必要があります。
アレルギーの原因(抗原)は、どんなものがあるのでしょうか?体に入ってくる物のほとんど、花粉やハウスダスト、家の中のカビ、肉・魚・野菜、木綿やウール、タバコの煙などいろいろあり、原因が複数の事もあります。アレルギーを調べる方法は、血液から抗体を調べる方法とツベルクリン反応のように皮内に注射をして赤い腫れを見る皮内反応テストと症状から探る方法があります。症状から探る方法は、飼い主さんの注意深い観察と努力が必要です(愛があれば簡単)。かゆみに季節性があれば、花粉が関与している可能性があり、部屋によってかゆみが変わるようならハウスダストや接触アレルギー(特に胸やおなかの下の面をかゆがる)を疑います。また「診断的治療」と言って、アレルギーを起こさない食事を1-2ヶ月続けかゆみが治まるか?またもとの食事を与えかゆみが始まるかを見ます。アレルギーを起こさない食事は、2通りあります。1つは、今まで食べた事の無 い蛋白源(七面鳥、鹿など)で、この珍しい蛋白源に対しての抗体はまだ体の中にないためアレルギーは起こらないはずです。もう1つはアレルギーを起こさないほど蛋白質を分解した食事(z/dR、低分子プロテインR)です。摂取した蛋白質の分子がある程度の大きさ(分子量)はないとアレルギー反応は起きないことがわかっていますので、食事中の蛋白質をあらかじめ細かく分解して作ったフードです。
アレルギーになってしまったら、生活環境整備や食事に注意を払い、定期的なシャンプーが大切です。アレルギーの原因になるもの(抗原)、怪しい物と接しない様にしてください。またアレルギーの治療は終わりがない事も多く、うまくコントロールしてあげることが大切です。飼い主さんの愛情でここち良い生活を!

乳腺ガンは防げますか?
腫瘍とは・・・・
いわゆる「しこり」「はれもの」の中で、炎症や過形成ではなくて、本来、正常な細胞が、何らかの要因によって、活発な成長、増殖をおこなってしまう異常な細胞の集団を腫瘍といいます。普通は、体の防御システムが働いて、異常な細胞は大きくなる前に排除されます。しかし、そのような防御システムがうまく働かない場合、その異常な細胞の集団はどんどん大きくなっていきます。そのなかで、増殖がゆるやかで、体の他の部位に転移しないものを「良性腫瘍」といい、成長、増殖に歯止めがかからず、体の他の部位に転移して、ついには命を奪いかねない悪質なものを「悪性腫瘍」(がん)といいます。そのなかで比較的多く見られるものが、乳腺細胞の異常な成長、増殖で発生する「乳腺腫瘍」です。
乳腺のしこりがあったら・・・・
乳腺腫瘍とは、雌の乳房またはその付近の皮下に様々な大きさの「しこり」が発生する病気です。腫瘍の腫大化や複数の乳房への転移によって気づくのが普通で、初期には痛みなどはほとんど認められません。ただし、腫瘍が自潰して化膿すると悪臭を放ち、また他の臓器(特に肺が多い)への転移は死を招くことにもなります。
乳腺腫瘍は、わんちゃんにもねこちゃんにも発生しますが、発生頻度や悪性の割合など少し違いがあります。わんちゃんの乳腺腫瘍は、メス犬の全腫瘍の約52%といわれるほどかかりやすい病気です。発生年齢は10歳から11歳ぐらいが多く、5歳以下での発生はまれです。また、メス犬のみ発生すると思われがちですが、オス犬にも発生することもあります。乳腺腫瘍になりやすい犬種としてはマルチーズ、ヨークシャーテリア、プードル、ポメラニアン、シーズーといった小型犬に多く見られます。
乳腺腫の予防は可能か?
わんちゃんの乳腺腫瘍はメス犬10万頭につき約200頭の割合で発生し、とくに女性ホルモン(特にエストロジェン)との関連性がきわめて高いと考えられていて、発情がきた回数と避妊手術をする時期によって乳腺腫瘍の発生率が違うといわれています。具体的には、初発情前に避妊手術を受けたメス犬が乳腺腫瘍になる危険性は、避妊手術を受けていないメス犬の約0.5%、また、初発情と2回目の発情のあいだに避妊手術を受けた場合は約8%、発情2回目と3回目のあいだに避妊手術を受けた場合は約26%に減ります。早め(特に最初の発情の前)に避妊手術をすることによって、乳腺腫瘍を避けることができます。
ねこちゃんの乳腺腫瘍は約10万頭につき約25頭の割合で発生します。発生年齢は10歳から11歳くらいが多いです。また、99%は未避妊雌に発生します。ねこちゃんの場合は避妊手術を行なう月齢によって乳腺腫瘍の発生率が違うと言われています。具体的には、生後6ヵ月以前に避妊手術を受けたメス猫が乳腺腫瘍になる危険性は、避妊手術を受けていないメス猫の約9%、7から12ヵ月までに避妊手術を受けた場合は約14%に減りますが、13から24ヵ月までに避妊手術を受けた場合は約89%、24ヵ月を過ぎると100%(避妊手術をしても変わらない)となって未避妊雌とあまり変わらなくなります。
人間では、出産経験がある方が乳腺がんになる確率は低くなりますが、それは妊娠中にはエストロジェンの分泌が少なくなるからです。避妊手術を行なわない人間にとってはもっともですが、だからといって乳腺癌の予防のために妊娠する人はいません。わんちゃんねこちゃんも同じです。「子供がほしいかどうか?」で決めてあげてください。わんちゃんねこちゃんの出産経験と乳腺癌の研究はありませんが、避妊手術によって完全にエストロジェンの分泌はなくなりますので、理論的には乳腺癌の発生もより防げると思います。
乳腺腫の治療は・・・・
腫瘍が発生してしまった場合には手術による切除がすすめられます。もちろん、麻酔前検査として身体検査や血液検査をし、さらに転移の有無をみるためX線検査も行います。そして切除した腫瘍は必ず病理検査で悪性であるか良性であるかを診断し、その後の処置を決める必要があります。わんちゃんの場合、良性、悪性の割合は50%ずつです。
ねこちゃんの場合は、わんちゃんと違い90%以上は悪性です。ですからねこちゃんの乳腺腫瘍では、手術によって徹底的な乳腺の切除が必要です。この手術では、腫瘍になっている側の4つのすべての乳腺と腋の下のリンパ節、そして鼠径部
(足のつけ根) のリンパ節を切除します。右と左の両方の乳腺が腫瘍になっている場合は、4週間の間隔をあけて右側と左側をそれぞれ2回、徹底的に乳腺を切除する必要があります。手術後は、傷口は腋の下から外陰部にまで達します。その部分に体液がたまるのを防止するため、小さなゴムの管が挿入される場合もあります。この管は手術の4〜5日後に外されることが多いです。
ここまで書いてきたように、もし将来子供を生ませる予定がないなら、早ければ初発情前、遅くとも生後1、2年のあいだに避妊手術を受けることが、この乳腺腫瘍の発生予防に役立つとともにほかの病気(子宮蓄膿症など)の予防にもつながります。そして、乳腺の部分にしこりが見つかったら様子を見ないですぐに動物病院に連れて行くことが大切です。

かわいい顔に、こわ〜い病気!(水頭症)
「うちの犬、この頃、歩き方が変?」小型犬で1歳前後なのに、部屋の壁に頭をぶつけたまま、もがいたり、散歩に行くと、からだが右に傾いて、右の方ばかりぐるぐると回りだすような症状が見られた時に、「まだぼけるような年じゃないのにな?」と思われるかもしれません。また、突然、痙攣(けいれん)したり、じっとしたまま、動かなくなったり…。そんな時、脳の中に、なにか異常がある場合も少なくありません。
息をしたり、食事をしたり、歩いたり、見たり、聞いたり、臭いをかいだり、暑さ、寒さを感じたり、物事を憶えたり、考えたりする事、これらの動物の生命維持と心身の調節は、「脳」の仕事です。その重要な脳をまもるため、脳は頭蓋骨と三層の髄膜(硬膜、クモ膜、軟膜)におおわれています。脳の中(大脳皮質の内側)には、脳室系と呼ばれる部屋(左右にある二つの側脳室、第三および第四脳室)があり、その部屋は脳脊髄液で満たされています。その液体は側脳室、第三脳室、第四脳室、クモ膜下腔へ流れ、最終的に硬膜静脈洞に突出するクモ膜顆粒から静脈洞内に排出されます。しかし、脳を浸す髄液の量が増えたり、流れがどこかで妨げられたりすると脳圧が上がり、脳(神経細胞)を圧迫します。これが、水頭症です。症状だけを見ると、細菌やウィルスによる髄膜脳炎や脳の腫瘍(しゅよう)(ガンなど)と区別がつきづらく、いろんな障害・症状がおこってきます。
人の場合なら、「頭痛がする」、「めまいがする」、「吐き気がする」など、初期症状を訴えて、早期発見・早期治療にむすびつくことが多いけれども、ワンちゃんやねこちゃんは、黙って耐えていることも多く、飼い主さんは「今日はすこし元気がないわ」という程度にしかわからないかもしれません。脳内の病気が進行し、歩行困難や旋回、痙攣発作、意識障害など、重い症状が現れてはじめて、来院するケースがほとんどです。このような脳の障害をおこす水頭症には2種類あって、(1)脳室内に脳脊髄液が異常に貯留し、その結果脳室の拡張を生じ、脳組織が圧迫されて様々な障害を生じる内水頭症と、(2)くも膜下腔に脳脊髄液が貯留して同様な障害を生じる外水頭症があります。チワワ、ヨーキー、ポメラニアン、トイプードルなどの超小型犬、ボストンテリア、ペキニーズなどの短頭種に多く発生する傾向にあり、外見の特徴としては、とても小さい犬やおでこが大きくぬいぐるみのようにかわいい顔をしていることがあります。具体的な症状としては意識の低下、活発さがなくなったり、てんかん様発作、知能の低下、異常な行動(何もないのにハエを追うようなしぐさをする、突然鳴き出すなど)、五感が衰える知覚障害がみられたりします。病気の原因は、髄液の貯まっている量ではなく、それによる「脳圧」の高まりです。そのため、興奮や頭部の打撲によって一過性に脳圧が上がることが引き金になって発症する事も多いです。だから、治療方法はいかに脳圧を下げるかで、通常は浸透圧利尿剤を使い、余分な髄液を静脈に吸収させ症状は改善します。しかし進行性で髄液がどんどんたまる場合は、脳圧を一定に保ちながら余分な髄液を排出するために、弁の付いた管(くだ)を脳室からお腹に通すバイパス手術をしなければなりません。
また水頭症が進むと、脳細胞に水分が浸みこんで機能障害を起こす「脳浮腫(ふしゅ)(脳のむくみ)」という状態になるため、副腎皮質ホルモンを投与します。また、「てんかん様発作」症状の動物には抗てんかん剤を投与するなど、さまざまな症状への治療を併用することになります。
この水頭症は、なりやすい犬種と特徴的なかわいい顔があり、症状は比較的若い時期に見られます。かわいい小型犬を飼っている方は、興奮や頭部外傷によって発症の危険性が高まりますので、要注意です。「あれ?」と思ったらすぐ来院してください。

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